十二人の怠け者の下男
グリム童話
とあるお屋敷に、それはそれはユニークな、いえ、とんでもなく怠け者の12人の召使いたちが暮らしていました。彼らは仕事が大の苦手。いえ、大嫌いと言った方が正しいでしょう。
ある晩、仕事が終わった(というより、何もしなかった)あと、みんなで集まって、自分がいかに怠け者か自慢話を始めました。
一番目の男が言いました。「わしはな、横になるのは得意だが、起き上がるのはどうも苦手でな。誰かが引っ張ってくれなきゃ、一日中でも寝ておるわい。」
二番目の男は、ふんと鼻を鳴らして言いました。「馬に水を飲ませる?ああ、それくらいなら。でも、鞍を置いたり、手綱をつけたりするのは、他の誰かの仕事だろう?」
三番目の男は、あくびをしながら言いました。「もしわしが溝に落ちたとしても、誰かが助けに来てくれるまで、そのまま気持ちよく寝ているだろうなあ。」
四番目の男は、もぐもぐと何かを食べる真似をしながら言いました。「食べ物が口の前にあれば食べるけど、それを取るために手を伸ばすなんて、とんでもない!」
五番目の男は、目を細めて言いました。「わしは眠るのが仕事さ。3週間ぶっ通しで眠ったこともある。起きるのが一番の重労働だね。」
六番目の男は、足をぶらぶらさせながら言いました。「一歩歩くのは、まあ、仕方ない。でも二歩目は勘弁してほしいね。誰かにおんぶしてもらうのが一番だ。」
七番目の男は、暖炉の方を見ながら言いました。「火のそばに薪が置いてあれば、火が消えないように見張ってやるよ。でも、薪を割ったり、運んだりするのはごめんだね。」
八番目の男は、体をぶるっと震わせる真似をしました。「雨が降ってきても、濡れるのは平気さ。でも、傘をさすために腕を上げるなんて、疲れるだけだろう?」
九番目の男は、ポケットに手を入れたまま言いました。「鍵が鍵穴にささっていれば、回してやるかもしれない。でも、その鍵を探し出すなんて、考えただけでも疲れるよ。」
十番目の男は、うつらうつらと言いました。「一日中目をつぶっているのは楽でいい。でも、まぶたを開けるのは、かなりの努力がいるんだ。」
十一番目の男は、ふんぞり返って言いました。「誰かがわしを運んでくれるなら、どこへでも行くよ。でも、自分の足で立つなんて、まっぴらごめんだ。」
最後に、十二番目の男が、まるで一番賢いかのように言いました。「みんな、まだまだ甘いな。一番いいのは、何もしないことさ。何もしなければ、疲れることもないし、失敗することもない。これぞ究極の怠け者だ!」
他の11人は、「おおーっ!」と感心したように声をあげました。
こうして12人の怠け者たちは、毎日をのんびりと、できるだけ何もしないで過ごしたのでした。めでたし、めでたし…かな?
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