三人の怠け者
グリム童話
とある国に、ちょっぴり変わった王様がいました。王様には三人の息子がいましたが、三人とも、それはそれはものぐさで有名でした。
王様はだんだん年をとってきたので、そろそろ次の王様を決めなければなりません。でも、どの息子も働くのが大嫌い。困った王様は、ある日こう言いました。
「よし、わしの跡継ぎは、一番ものぐさな息子にしよう!」
それを聞いた息子たちは、大喜びです。だって、何もしなくていいんですからね。
まず、長男が呼ばれました。
「お前はどれくらいものぐさなんだ?」と王様が聞くと、長男はあくびをしながら言いました。
「そうですねえ、もし僕が寝転がっていて、天井から水が一滴ポタッと落ちてきても、足をどけるのさえ面倒で、そのまま濡れちゃうなあ。」
王様は「うーむ、なかなかのものぐさじゃ。」と言いました。
次に、次男が呼ばれました。
「お前はどうだ?」と王様。
次男は目を半分閉じたまま言いました。
「もし僕が火のそばでウトウトしていて、ズボンに火がつきそうになっても、体を動かすのが面倒だから、誰かが消してくれるまで待ってるかなあ。」
王様は「おお、それはさらに上をいくものぐさじゃ!」と感心しました。
最後に、三男が呼ばれました。
「さて、お前の一番のものぐさっぷりを聞かせてくれ。」
三男はため息をつきながら言いました。
「もし僕が首に縄をかけられて、誰かがその縄を切るためのハサミを渡してくれても、僕は面倒くさくてハサミを持ち上げられないだろうなあ。そのままぶらーんってなっちゃうよ。」
これには王様もびっくり。
「決まりだ!お前こそ、わしの跡継ぎにふさわしい、国一番のものぐさ者だ!」
こうして、一番ものぐさな三男が、次の王様になりましたとさ。
新しい王様は、きっと何もしないで、のんびり暮らしたことでしょうね。めでたし、めでたし…かな?
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