• クノイストと三人の息子

    グリム童話
    あるところに、クノストという名のおじいさんと、三人の息子が一緒に暮らしていました。おじいさんは言いました。「おまえたちも、そろそろ自分の力で何かを見つけてくる頃だ。さあ、旅に出なさい。」

    一番上のお兄さんは元気よく出発しました。森の奥で、不思議な男の人に出会いました。男の人の仕事を手伝うと、お礼にロバを一頭もらいました。「これは魔法のロバだよ。『ロバくん、金貨をポン!』と言うと、口から金貨がポロポロ出てくるんだ。」
    お兄さんは大喜び。途中の宿屋で、お兄さんは自慢げにロバの秘密を話してしまいました。欲張りな宿屋の主人は、夜中にこっそり普通のロバとすり替えてしまったのです。何も知らないお兄さんは、金貨の出ないロバを連れて、がっかりして家に帰りました。

    次に、二番目のお兄さんが出発しました。彼も森で同じ男の人に出会い、仕事を手伝いました。今度はお礼にテーブルをもらいました。「これは魔法のテーブルさ。『テーブルさん、ごちそうどうぞ!』と言うと、おいしい料理がずらりと並ぶんだ。」
    二番目のお兄さんも大喜び。しかし、彼も同じ宿屋に泊まり、うっかり秘密を話してしまいました。またしても欲張りな宿屋の主人が、夜中に普通のテーブルとすり替えてしまいました。二番目のお兄さんも、がっかりして家に帰りました。

    最後に、三番目の弟が出発しました。彼は一番賢い子でした。彼もまた森で男の人に出会い、仕事を手伝いました。そして、お礼に袋をもらいました。「この袋には特別なこん棒が入っている。『こん棒、出てこい!』と叫ぶと、悪いやつをやっつけてくれるのさ。」
    弟は「これはいいぞ」と思いました。そして、兄さんたちと同じ宿屋に泊まりました。弟はわざと大きな声で言いました。「この袋の中には、すごい宝物が入っているんだ!」
    夜中、宿屋の主人がこっそり袋を盗もうと手を伸ばしたその時!
    「こん棒、出てこい!」弟が叫ぶと、袋からこん棒が飛び出し、宿屋の主人をポカポカ打ち始めました。「いたたた!助けてくれ!」主人は悲鳴を上げました。
    「兄さんたちのロバとテーブルを返すんだ!さもないと、こん棒は止まらないぞ!」
    主人は泣きながら、金貨を生むロバとごちそうが出るテーブルを返しました。

    三番目の弟は、金貨を生むロバと、ごちそうが出るテーブルと、そして言うことを聞くこん棒を持って、意気揚々と家に帰りました。
    クノストさんと三人の息子たちは、それからずっと幸せに暮らしましたとさ。

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