ユダヤ人の娘
アンデルセン童話
太陽がぽかぽか暖かい日、小さな町にサラという名前の女の子がいました。サラちゃんは、とても賢くて、心優しい女の子でした。
ある日、町の教会では、子供たちがきれいな白い服を着て、特別な式に参加する日がありました。サラちゃんも、その様子を遠くから見ていました。キラキラした白い服、楽しそうな歌声。サラちゃんは、「いいなあ、私もあんなふうに白い服を着て、みんなと一緒にお祝いしたいなあ」と心の中でそっと願いました。でも、サラちゃんは、その式には参加できませんでした。
サラちゃんは、教会の窓からそっと中をのぞきました。みんな楽しそうに歌ったり、お祈りしたりしています。その美しい光景に、サラちゃんはうっとりしました。
式の後、一人の優しい奥さんが、窓からのぞいていたサラちゃんに気づきました。奥さんはにっこり笑って、サラちゃんに小さなパンを一つくれました。「これはね、神様からの小さなお恵みよ」と奥さんは言いました。
サラちゃんは、びっくりしたけど、とても嬉しくて、「ありがとうございます!」と小さな声でお礼を言いました。そのパンは、サラちゃんにとって、今までもらったどんなお菓子よりも美味しく感じられました。サラちゃんは、そのパンを大切に、大切にしました。
しばらくして、サラちゃんは病気になってしまいました。だんだん元気がなくなっていきましたが、心の中では、あの白い服のことや、優しい奥さんにもらったパンのことを思い出していました。
そして、ある静かな夜、サラちゃんは静かに眠るように、天国へ旅立ちました。
するとどうでしょう。天国では、サラちゃんは夢にまで見た真っ白な、光り輝く服を着ていました。そして、たくさんの天使たちと一緒に、嬉しそうに歌っていました。もう寂しくありません。そこは、優しさと温かい光でいっぱいの、素晴らしい場所だったのです。サラちゃんの優しい心は、天国で永遠に輝き続けることになりました。
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