• 二人の乙女

    アンデルセン童話
    太陽がポカポカと暖かい日、小さな村のはずれに、二人の姉妹が住んでいました。一人は、いつもニコニコしていて、誰にでも親切な花ちゃん。もう一人は、ちょっとわがままで、自分のことばかり考えている雪ちゃんです。

    ある日、花ちゃんが森へ木の実を拾いに出かけると、道端で困っているおばあさんに出会いました。「もしもし、お嬢ちゃん。重い荷物を持つのを手伝ってはくれまいか?」おばあさんは、優しそうな目で花ちゃんを見ました。
    花ちゃんは、「もちろんです、おばあさん!どこまで運びましょうか?」と笑顔で答え、おばあさんの荷物を軽々と持ってあげました。おばあさんはとても喜び、「ありがとう、親切な子だね。お礼に、あなたが話すたびに、口からきれいな宝石や可愛らしい花がこぼれ落ちるようにしてあげよう」と言いました。
    花ちゃんが家に帰って、「ただいま!」と言うと、まあ不思議!口からキラキラ光るルビーや、いい香りのバラがポロポロとこぼれ落ちたのです。

    それを見ていた雪ちゃんは、うらやましくてたまりません。「わたしも宝石が欲しいわ!」と、次の日、同じように森へ出かけました。
    すると、昨日のおばあさんが、また同じ場所にいました。「もしもし、お嬢ちゃん。少し水をいただけないかね?」
    雪ちゃんは、ブスッとして、「なんでわたしが!自分でやりなさいよ!」と、つっけんどんに言いました。
    おばあさんは悲しそうな顔をして、「そうかい…それなら、あなたが話すたびに、口からカエルやヘビが出てくるようにしよう」と言いました。
    雪ちゃんは「ふん、そんなことあるわけないわ!」と家に帰り、「ただいま!」と叫びました。すると、まあ大変!口からゲコゲコ鳴くカエルや、ニョロニョロ動くヘビが飛び出してきたのです!

    それからというもの、花ちゃんが話すたびに、みんなが喜び、美しいものでいっぱいになりました。雪ちゃんは、話すのが怖くなってしまい、自分のわがままを深く反省しました。
    親切な心は、美しい花を咲かせるのですね。

    1459 閲覧数