• オデュッセウスの遥かなる帰路

    ギリシア神話
    オデュッセウスという、とっても勇敢な英雄がいました。長い長い戦争が終わって、彼はお家へ帰るところでした。彼の故郷はイタカという美しい島。そこには愛する奥さんのペネロペと、息子のテレマコスが待っています。「早くみんなに会いたいなあ!」オデュッセウスは船の上で思いました。

    でも、帰り道は大変!最初にたどり着いた島では、不思議な「ロトス」という実を食べる人たちがいました。その実を食べると、故郷のことなんてすっかり忘れて、ずっとそこにいたくなっちゃうんです。オデュッセウスの部下も何人か食べちゃった!「だめだ、帰るぞ!」オデュッセウスは無理やりみんなを船に乗せました。

    次に着いたのは、一つ目の巨人キュクロプスが住む島。ポリュペモスという名前の巨人は、オデュッセウスたちを洞窟に閉じ込めて、部下をパクリ!オデュッセウスは知恵を絞って、巨人を酔っ払わせ、焼いた木の棒で一つ目をえいっ!「誰も私を傷つけていない!」と巨人が叫ぶように、「私の名前は『誰でもない』だ」と教えておいたのです。賢い!羊のお腹にくっついて、なんとか脱出。でも、怒った巨人は海の神様ポセイドンにお願いして、オデュッセウスの旅を邪魔させました。だから、オデュッセウスの船はなかなかイタカに着けません。

    風の神様アイオロスは親切でした。故郷へ帰るための良い風以外の、悪い風を全部袋に詰めてくれました。「絶対に開けちゃだめだよ」と言われたのに、部下たちは宝物が入っていると思ってこっそり開けちゃった!ビューン!悪い風が全部出て、船は元の場所へ逆戻り。がっかりです。

    恐ろしい人食い巨人の島では、たくさんの船と仲間を失いました。やっとたどり着いた魔女キルケの島では、部下たちが魔法で豚に変えられちゃった!ブヒブヒ!オデュッセウスは神様ヘルмесにもらった薬草のおかげで魔法にかからず、キルケと話し合い、部下たちを元に戻してもらいました。キルケの島で一年も過ごした後、キルケは帰り道のヒントを教えてくれました。

    次に危険なのは、美しい歌声で船乗りを惑わすセイレーン。その歌声を聞くと、船乗りはみんな海に飛び込んでしまうのです。オデュッセウスは部下たちの耳に蜜蝋を詰め、自分はマストに体を縛り付けてもらいました。「ああ、なんて素敵な歌なんだ!降ろしてくれ!」と叫んだけど、部下たちは知らんぷり。無事に通過できました。

    海の怪物スキュラと、大きな渦潮カリュブディスの間も通らなくてはなりません。スキュラはタコのような足で船員をさらい、カリュブディスは船ごと飲み込もうとします。スキュラに何人かの部下を奪われたけど、なんとか通り抜けました。

    太陽の神様ヘリオスの島では、絶対に食べてはいけない聖なる牛がいました。でも、お腹がペコペコだった部下たちは、オデュッセウスが眠っている間にこっそり牛を食べちゃった!怒った神様ゼウスが雷を落とし、船はバラバラ。オデュッセウスだけが助かりました。

    一人ぼっちで流れ着いたのは、美しい女神カリュプソの島。カリュプソはオデュッセウスを好きになって、7年間も帰してくれませんでした。でも、オデュッセウスはずっと故郷と家族を思っていました。神様たちの助けで、やっとカリュプソの島を出て、パイアケス人の国へ。優しい王様がオデュッセウスの話を聞き、船に乗せて、ついに、ついにイタカへ送り届けてくれました!

    20年も留守にしていたので、イタカは大変なことに。たくさんの悪い男たちがペネロペ奥様に「オデュッセウスはもう帰らない。俺たちと結婚しろ!」と迫っていたのです。女神アテナがオデュッセウスをみすぼらしいおじいさんの姿に変えました。誰も彼が王様だとは気づきません。でも、年取った犬のアルゴスだけは、尻尾を振って彼に気づき、そして静かに息を引き取りました。

    ペネロペは賢い奥さんです。「オデュッセウスの弓を引けて、12個の斧の穴を矢で射通せた人と結婚します」と宣言。悪い男たちは誰も重い弓を引けません。そこへおじいさんの姿のオデュッセウス。「わしにもやらせてくれ」みんなは笑いましたが、オデュッセウスは軽々と弓を引き、的を射抜いた!「私はオデュッセウスだ!」正体を現し、息子のテレマコスと一緒に悪い男たちを追い払いました。

    ペネロペは最初は信じられなかったけど、二人だけの秘密の寝台のことをオデュッセウスが話すと、やっと本物の夫だと分かり、涙を流して喜びました。こうしてオデュッセウスは長い長い旅を終え、愛する家族とイタカで平和に暮らしましたとさ。

    1280 閲覧数