ロバと犬
イソップ寓話
とある村に、一人の優しいおじさんが住んでいました。おじさんは、ロバとイヌを飼っていました。
イヌは、おじさんが帰ってくると、いつも大喜びでしっぽをフリフリ。おじさんの足にすりすりしたり、ぺろぺろなめたりして甘えました。おじさんはニコニコして、「よしよし」とイヌの頭をなでて、おいしいおやつをあげました。イヌはいつも嬉しそうでした。
それを見ていたロバは思いました。「いいなあ、イヌは。ちょっと甘えるだけで、あんなにご褒美をもらえて。僕だって、おじさんに可愛がられたいなあ。毎日重い荷物を運んで頑張っているのに、おじさんは僕にはあまりかまってくれない。」
ある日、ロバは決心しました。「そうだ!僕もイヌの真似をしてみよう!」
おじさんが仕事から帰ってくると、ロバはイヌのように「ヒヒーン!」と大きな声で鳴きながら、おじさんに近づきました。そして、前足を上げておじさんに飛びかかろうとし、大きな舌で顔をぺろぺろしようとしました。
でも、ロバの大きな体と、ざらざらの舌は、小さくてふわふわのイヌとは大違いです。おじさんはびっくり仰天!「うわあ、どうしたんだい、ロバくん!危ないじゃないか!」
おじさんは怖くなってしまい、思わずロバを「こらっ!」と追い払ってしまいました。
ロバはしょんぼり。「どうしてだろう。イヌと同じようにしたのに、おじさんは喜んでくれなかったなあ。」と、悲しそうに小屋に戻っていきました。
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