雌ライオン
イソップ寓話
ある晴れた日の午後、森の動物たちが集まって、自分たちの得意なことをお話ししていました。
ウサギさんが「ぼくはね、一度にたくさんの赤ちゃんを産むんだ!この前も、ほら、こんなにたくさん!」と、元気な子ウサギたちを指さしました。
すると、キツネさんも負けじと「あら、私もよ!私の子供たちも、いーっぱいで賑やかなの。一度に5匹も6匹も生まれるんだから、すごいでしょう?」と胸を張りました。
みんなが「わあ、すごいねえ!」と感心していると、キツネさんはそばにいたライオンのお母さんに気づきました。
「ねえ、ライオンのお母さん。あなたはいつも一匹しか赤ちゃんを産まないんでしょう?なんだか、ちょっと寂しくない?」と、少し得意げに尋ねました。
ライオンのお母さんは、静かに微笑んで答えました。
「ええ、確かに私は一度に一匹しか産まないわ。でもね、そのたった一匹は、百獣の王、ライオンなのよ!」
キツネさんはちょっと顔を赤らめ、周りの動物たちは「なるほどねえ」と感心したように頷きました。数がたくさんいることだけが、すごいことじゃないんだね。
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