• 痩せたリーゼ

    グリム童話
    あるところに、リーザという名前の、それはそれは怠け者で、だからとっても痩せっぽちの女の子がいました。リーザは働くのが大嫌い。だから、いつもお腹がペコペコでした。

    ある日、のっぽのハンスがリーザのところにやってきました。「リーザさん、結婚してください!」ハンスは言いました。
    リーザは考えました。「ふむ、結婚したら、ハンスが働いてくれるかも!」
    ハンスは続けました。「でもリーザさん、あなたは働き者ですか?僕のお嫁さんは、よく働く人がいいんだ。」
    リーザはニッコリ。「もちろんですわ!見ててください!」
    リーザは糸紡ぎ車(いとつむぎぐるま)の前に座りました。でも、亜麻(あま)の束はこっそり隠しちゃった。そして、空っぽの糸車をカタカタ、カタカタ。口では「ウィーン、ウィーン」と糸を紡ぐ音を真似します。
    ハンスは「おお、素晴らしい音だ!なんて働き者なんだろう!」とすっかり感心しました。

    次にハンスが来た時、リーザは大きな鍋の前で、シャカシャカ、コトコトと音を立てていました。
    「何を作っているんだい?」ハンスが聞くと、リーザは「美味しいスープよ!もうすぐできるわ!」と言いました。
    でも鍋の中は空っぽ。リーザはただ音を立てていただけなのでした。
    ハンスは「いい匂いだ!きっと美味しいに違いない!」とまたまた感心。

    とうとう結婚式の日がやってきました。
    ハンスはリーザに言いました。「さあ、畑に行ってカブを採ってきておくれ。美味しいスープを作ろう。」
    リーザは畑に行きましたが、大きなカブを一つ見ただけで、「うーん、これを掘るのは大変だわ…それに、土で手が汚れちゃう」とため息。結局、何もしないでカブの横に座り込んでしまいました。
    お昼になってもリーザが帰ってこないので、ハンスは心配して見に行きました。するとリーザは、カブの横でスヤスヤお昼寝していたのです!
    「リーザ!何をしているんだい!」ハンスはびっくり。
    リーザは目をこすりながら「あら、ハンス。このカブ、とっても大きくて、どうやって運ぼうか考えてたら、疲れちゃったのよ」なんて言い訳しました。

    ハンスは大きな鎌(かま)を持ってきて言いました。「よし、僕がカブを切るのを手伝ってくれ。君は葉っぱを引っ張って。」
    でもリーザは「うーん、葉っぱを引っ張ると、爪が割れちゃうかもしれないわ」とやっぱり動きません。
    ハンスは呆れて言いました。「わかったよ、リーザ。君は本当に怠け者なんだね!」
    リーザは「えへへ」と笑うだけ。

    それからというもの、リーザはやっぱり怠け者のままでした。ハンスは毎日ため息をつきながらも、まあ、そんなリーザも面白いかな、なんて思ったり思わなかったり。
    リーザは相変わらず痩せっぽちのままでしたが、なんだかんだと楽しく暮らしたそうです。おしまい。

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