神の動物と悪魔の動物
グリム童話
世界がまだピカピカだったころのお話だよ。
神様は、それはそれは素晴らしい動物たちをたくさんお作りになりました。空を飛ぶ鳥、野原をかけるウサギ、森の王様ライオンも、みんな神様が心を込めて作ったんだ。
それを見ていた悪魔は、なんだかうらやましくて、自分も動物を作ってみることにしました。「ふふん、神様よりすごいのを作ってやるぞ!」と、一生懸命こねこね。でもね、できあがったのは、なんだかちょっとおかしな生き物ばかり。特にヤギを作ったとき、しっぽがだらーんと地面につくほど長くなっちゃったんだ。これじゃあ、歩くのも大変そうだ。
神様はそれを見て、ちょっぴりかわいそうに思いました。「うーん、これでは不便だろう」と、ヤギたちの長すぎるしっぽを、パクッ!と噛んで、ちょうどいい長さに短くしてあげたんだって。だから今でも、ヤギのしっぽは短くて、ちょっと噛まれたみたいに見えるんだね。
さて、神様はオオカミもお作りになりました。オオカミは、神様の忠実な犬のような存在で、神様のそばを離れませんでした。
悪魔はそれがまた面白くありません。「ちぇっ、オオカミまで神様の言いなりか」と、こっそりオオカミに近づいて、こうささやきました。「なあ、オオカミさんよ。わしのところに来ないか?そうすれば、おいしいヒツジを好きなだけ食べさせてやるぞ。」
ヒツジが大好物だったオオカミたちは、とうとう悪魔の甘い言葉に負けて、悪魔の家来になってしまいました。
神様はそれを知って、少し悲しそうな顔をしました。「オオカミよ、お前たちは悪魔のところへ行ってしまったのだな。ならば、ヒツジを食べることを許そう。だが、覚えておきなさい。いつかその行いの報いは受けることになるだろう。」
だから今でも、オオカミはヒツジを追いかけるけれど、時には猟師さんに追いかけられたり、わなにかかったりするのかもしれないね。そして、神様が作った他の動物たちは、今日も元気に野原を駆け回っているんだって。
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