• 鶏が背負った木の梁

    グリム童話
    台所のあたたかい暖炉のそばから、ある日、わらと、すみと、まめが一緒に旅に出ることにしました。「ここもいいけど、もっと広い世界を見てみたいね」と、三人はわくわくしながら歩き出しました。

    しばらく行くと、目の前に小さな小川が流れていました。「おや、どうやって渡ろうか」すみくんが言いました。まめちゃんも困った顔をしています。

    すると、わらさんが言いました。「大丈夫、私が橋になりましょう」。そう言って、わらさんはぴーんと体を伸ばし、小川のこちら岸から向こう岸へと体をかけました。立派な橋の完成です。

    「わあ、すごい!じゃあ、僕が最初に渡るよ!」元気いっぱいのすみくんが、わらさんの橋を渡り始めました。ところが、すみくんはまだ少し熱かったのです。わらさんの橋のちょうど真ん中あたりまで来たとき、わらさんはすみくんの熱で燃え始めてしまいました!「あっ!」と思った瞬間、わらさんは真ん中からぽきっと折れて、すみくんは「シューッ」という音を立てて水の中に落ちて、消えてしまいました。

    これを見ていたまめちゃん、あまりのことにびっくりしたのと、なんだかおかしいので、お腹をかかえて笑い出しました。「あははは、あははは!」笑いが止まりません。とうとう笑いすぎて、まめちゃんのお腹の皮がぱっくりと裂けてしまったのです。

    「あいたたた…」まめちゃんが困っていると、そこへちょうど親切な仕立て屋さんが通りかかりました。仕立て屋さんは裂けたまめちゃんを見て、「おやおや、かわいそうに。すぐに縫ってあげよう」と言い、持っていた黒い糸で、まめちゃんのお腹をきれいに縫い合わせてくれました。

    それ以来、豆にはみんな、黒い縫い目のような線がついているんですよ。もし豆を見かけたら、このお話を思い出してみてくださいね。

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