• 首の細い瓶

    アンデルセン童話
    キラキラ、ピカピカ!熱いガラスが、シュルシュル~っと形を変えて、ほら、素敵なワインボトルが生まれたよ。その一番上の、キュッと締まったところが、僕、瓶の首さ。

    すぐに、美味しいぶどうジュースみたいな赤いワインが、僕の中にトクトクと注がれたんだ。そして、大きな船に乗って、賑やかなパーティーへ!音楽が鳴って、みんな楽しそうに歌ったり、おしゃべりしたり。「君の健康を祝って乾杯!」なんて声も聞こえたよ。僕もなんだか嬉しくなっちゃった。

    でも、ワインがなくなると、ポイッ!と海に投げられちゃった。最初はびっくりしたけど、プカプカ浮かんで、なんだか冒険みたいでワクワクしたよ。広い広い海を、お魚さんたちと一緒に旅したんだ。

    ある日、船乗りの若い男の人が僕を見つけて、「これだ!」って。中に小さな紙切れを入れて、ギュッとコルクで蓋をしたんだ。大切な手紙を運ぶんだって。ドキドキしたなあ。僕はまた海に投げられて、今度はどこへ行くんだろうって、波に揺られて進んだよ。

    長いこと海を旅して、やっと砂浜にたどり着いた。そこでおばあさんが僕を見つけてくれたんだ。おばあさんは僕をきれいに洗って、時には可愛いお花を飾ってくれたり、小さなろうそくを立てて明かりにしてくれたりした。おばあさんの優しい手が、とっても温かかったな。

    でもある日、おばあさんがうっかり僕を落としてしまって、ガシャーン!と割れちゃった。ああ、もうおしまいかと思ったら、僕、首の部分だけは無事だったんだ。おばあさんは、その僕の首を、庭の隅っこにある鳥の水飲み場のそばに、そっと置いてくれた。

    そこから見る景色も、なかなかいいもんだ。小鳥たちが水を飲みに来て、僕に「こんにちは」って挨拶していくみたい。風が吹くと、葉っぱがサラサラ歌うのが聞こえる。

    そしてまた時が流れて、ある人が僕を見つけて、「おや、これは面白い形だ。昔の瓶の首だね」って、大切そうに拾い上げて、お家の棚に飾ってくれたんだ。

    僕はたくさんのことを見てきた。キラキラしたパーティー、広い海、優しいおばあさん、可愛い小鳥たち。小さな瓶の首だけど、僕の心の中には、たくさんの思い出が詰まっているんだ。これからも、ここからいろんなことを見るのが楽しみだな。

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