車薪の火に杯水
中国寓話
あるところに、薪をたくさん積んだ荷車が、道をゴトゴト進んでいました。
太陽がサンサンと照りつける暑い日だったので、荷車を引いている人も汗びっしょりです。
そのときです!
「あっ!大変だ!荷車から火が出ているぞ!」
誰かが叫びました。
なんと、乾いた薪にどこからか火の粉が飛んできたのか、荷車の薪が燃え始めたのです。
火はあっという間に大きくなって、メラメラと燃え広がります。
それを見た親切な人が、慌てて駆け寄ってきました。
「よし、僕が消してあげよう!」
そう言って、持っていた小さなコップ一杯のお水を、燃え盛る火に「えいやっ!」とかけました。
でも、どうでしょう。
コップ一杯のお水なんて、大きな火には「シュッ」と蒸発して、あっという間になくなってしまいました。
それどころか、火はますます勢いを増して、ゴーゴーと燃え続けるばかり。
「あれれ?おかしいなあ。どうして消えないんだろう?」
その人は首をかしげました。
周りで見ていた人たちは、「あんなに大きな火なのに、コップ一杯のお水じゃ、足りるわけないよ」と、ため息をつきました。
大きな問題や大変なことを解決するには、ほんの少しの助けや努力だけでは、うまくいかないことがあるんだね。もっとたくさんの力が必要な時もあるんだ。
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