梅を見て渇きを癒す
中国寓話
むかしむかし、とはちょっと違うけれど、ある暑い暑い夏の日のお話です。
太陽がギラギラ照りつけて、兵隊さんたちは長い道のりを歩いていました。隊長の曹操(そうそう)さんも、兵隊さんたちも、みんな汗びっしょり。
「あー、喉が渇いたなあ」
「水筒の水も、もう空っぽだよ」
兵隊さんたちは、だんだん元気がなくなってきました。足取りも重くなって、今にも倒れてしまいそうです。
曹操さんは困りました。「このままでは、みんなバテてしまう。どうにかして元気づけなければ!」
曹操さんは周りをキョロキョロ見回しましたが、残念ながら水のある場所は見つかりません。
そのとき、曹操さんはピコーン!といいことを思いつきました。
「みんな、もう少しだ!あの丘を越えれば、大きな梅の林があるぞ!」と大きな声で言いました。
「梅の林だって?」兵隊さんたちは顔を見合わせました。
曹操さんは続けます。「そうだとも!そこには、赤くて、それはそれは美味しそうな梅の実がたくさんなっているんだ!甘酸っぱくて、考えただけでも口の中に唾が出てくるだろう?」
それを聞いた兵隊さんたち。梅の実を想像してみました。
「うわあ、梅の実かあ…」
「甘くて酸っぱい、あの味…」
するとどうでしょう!不思議なことに、みんなの口の中にじゅわーっと唾が出てきたのです。
なんだか、さっきまでの喉のカラカラが、少しだけマシになったような気がしました。
「よし、梅の林まで頑張るぞ!」
「美味しい梅を食べるんだ!」
兵隊さんたちは、梅の実を思い浮かべながら、また元気に行進を始めました。
そして、もう少し歩いたところで、なんと!本当に水のある場所を見つけることができたのです。
「やったー!水だ!」
兵隊さんたちは大喜びで水を飲み、元気を取り戻しました。
曹操さんの賢い言葉のおかげで、みんな大変な道のりを乗り越えることができたのでした。めでたしめでたし。
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