耳を掩いて鐘を盗む
中国寓話
あるところに、ちょっぴりうっかり者の男の人がいました。
ある日、男の人は立派な鐘を見つけました。「わあ、なんて素敵な鐘だろう!家に持って帰りたいなあ。」
でも、その鐘はとても大きくて、動かすと大きな音が鳴りそうです。「どうしよう。音が鳴ったら、みんなに気づかれちゃう。」
男の人はしばらく考えました。そして、ピコーン!といい考えを思いつきました。
「そうだ!自分の耳を塞げば、鐘の音は聞こえないぞ。僕に聞こえなければ、他の誰にも聞こえるはずがない!」
そう思った男の人は、自分の両耳をしっかりと手で押さえました。これでよし、と。
そして、力いっぱい鐘を動かそうとしました。
ガラーン、ゴローン!
鐘はものすごい大きな音を立てました。
男の人には聞こえませんでしたが、周りの人たちにはよーく聞こえました。
「なんだなんだ?」「誰か鐘を盗もうとしてるぞ!」
すぐに村の人たちが集まってきて、男の人は捕まってしまいました。
男の人は、自分が聞こえなければ誰も聞こえないと思っていましたが、それは大きな間違いでしたね。
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