狼と老婆
イソップ寓話
お腹をペコペコにすかせたオオカミが、何か食べ物はないかなあと、森の中をうろうろしていました。
すると、小さなかわいいおうちから、赤ちゃんの泣き声が聞こえてきました。「えーん、えーん!」
オオカミはこっそり窓に近づいて、中の様子をうかがいました。
中では、おばあさんが赤ちゃんをあやしています。「こら、いつまでも泣いていると、窓の外にいるオオカミにポイっとあげちゃうよ!」
それを聞いたオオカミは、しめしめと思いました。「これはラッキーだ!もうすぐごちそうにありつけるぞ。」オオカミは、おうちのそばでじっと待つことにしました。
しばらくすると、赤ちゃんの泣き声がピタッと止みました。
そして、おばあさんの優しい声が聞こえてきました。「よしよし、いい子だね。もし本当にオオカミがやって来たら、みんなで力を合わせて追い払ってしまおうね。」
これを聞いたオオカミは、びっくり仰天!「ええっ?さっきと言ってることが全然違うじゃないか!」
オオカミはがっかりして、お腹をグーグー鳴らしながら思いました。「やれやれ、ここのおうちの人は、言うことがコロコロ変わって、ちっともあてにならないや。」
そして、しょんぼりと森の奥へ帰っていきましたとさ。
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