あるところに、とっても仲良しな二人の男の子がいました。名前はタロウとジロウ。二人は一緒に、わくわくする冒険の旅に出かけることにしました。

「もし途中で何か怖いものに出会っても、お互い助け合おうね！」タロウが言うと、ジロウも「もちろんさ！僕たちはずっと友達だもん！」と力強くうなずきました。

森の中をどんどん進んでいくと、突然、ガサガサッ！と大きな音がしました。見ると、大きな熊がのっしのっしとこちらへ向かってくるではありませんか！

「うわーっ、熊だ！」タロウはびっくりして、あっという間に近くの木にするすると登ってしまいました。ジロウは木登りが苦手だったので、登れません。

「どうしよう…」ジロウは困りましたが、ふと、おばあちゃんから聞いた話を思い出しました。「熊は死んだふりをしているものは食べないんだよ。」

そこでジロウは、地面にばたんと倒れて、息をじーっと止めました。まるで石ころみたいに、ぴくりとも動きません。

熊はジロウのそばまでやってきて、くんくんと顔の匂いを嗅いだり、耳のあたりをふんふんしたりしました。でも、ジロウは死んだふりを続けます。熊は「ちぇっ、つまらないな」と思ったのか、やがて森の奥へと去っていきました。

熊がいなくなると、木の上にいたタロウがそろそろと降りてきました。
「ジロウ、大丈夫だったかい？熊が君の耳元で何かささやいていたみたいだけど、何を言っていたんだい？」

ジロウはゆっくりと起き上がり、タロウをじっと見つめて言いました。
「うん、熊さんはね、『危ない時に自分だけさっさと逃げてしまうような友達とは、もう一緒に旅をするのはおよしなさい』って教えてくれたんだよ。」

タロウはそれを聞いて、顔を真っ赤にして何も言えなくなってしまいました。

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