• 臆病な猟師

    イソップ寓話
    太陽がキラキラ輝くある朝、森の中に、一人の猟師がいました。
    彼はいつも、「ぼくは森で一番勇敢な猟師だ!ライオンだって怖くないぞ!」と大きな声で言っていました。でも、本当はとっても臆病だったのです。

    ある日、猟師は鉄砲を肩にかついで、森を歩いていました。
    「よし、今日はライオンの足跡を見つけて、みんなに自慢してやろう!」
    そう思ってキョロキョロしていると、向こうから木こりがやってきました。

    猟師は木こりに得意そうに話しかけました。
    「やあ、木こりさん。このあたりでライオンの足跡を見なかったかい? ぼくはライオンを捕まえようと思ってるんだ。」

    木こりはニヤリと笑って言いました。
    「ライオンの足跡だって? それなら、もっといいものを見せてあげよう。本物のライオンだよ! ちょうどあそこの茂みに隠れているんだ。さあ、一緒に行こう!」

    それを聞いた猟師は、顔が真っ青になりました。歯はガチガチ、膝はブルブル震えだしました。
    「え、ええっ!? ほ、本物のライオン!?」
    猟師は慌てて言いました。
    「い、いや、ぼくが探しているのは、ライオンの足跡だけなんだ。本物じゃなくて…ええと、その…」

    そして、猟師は「あ、そうだ!家に大事な用事を思い出した!」と叫ぶと、鉄砲も放り出しそうなくらいの勢いで、一目散に逃げていきました。

    木こりさんは、その様子を見て、くすくす笑いながら言いました。
    「口では勇ましいことを言っても、いざとなると逃げちゃうんだなあ。」
    森の奥からは、のんびりとしたライオンのあくびが聞こえてくるようでした。

    2035 閲覧数