• 蟹と狐

    イソップ寓話
    太陽がサンサンと照りつける、ある暑い日のことでした。
    海の中に住んでいるカニくんがいました。カニくんは、毎日同じ海の景色に、ちょっぴり飽きてしまいました。「たまには陸の上も探検してみたいなあ」カニくんは思いました。

    そしてある日、カニくんは勇気を出して、ザブーンと波を乗り越え、砂浜に上がりました。ヨチヨチ、横歩きで砂の上を歩きながら、カニくんは得意になりました。「へへん、ぼくだって陸でもちゃんと歩けるんだぞ!海の生き物だけど、陸もへっちゃらさ!」と大きな声で言いました。

    ちょうどその時、お腹を空かせたキツネが通りかかりました。キツネは、砂浜で自慢げに歩いているカニくんを見つけました。
    キツネはにっこり笑って近づいてきました。「おや、カニさんじゃないか。こんな陸の上で何をしているんだい?君のおうちは海の中だろう?陸の上では、君の得意なハサミも、速い動きも、あまり役に立たないんじゃないかな?」

    カニくんは、「そんなことないやい!」と強がりましたが、本当はドキドキしていました。キツネがさっと近づくと、カニくんは慌てて海へ逃げようとしましたが、砂の上では思うように速く動けません。あっという間に、キツネにパクッと捕まえられてしまいました。

    「やっぱり、カニさんは海の中が一番安全だったのにね」とキツネは言いながら、カニくんをペロリと食べてしまいました。

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