ロバとバッタ
イソップ寓話
ある暖かい春の日、野原でロバくんがのんびり草を食べていました。
すると、どこからか、とってもきれいな歌声が聞こえてきました。「リーン、リーン」それはキリギリスさんの歌でした。
ロバくんはうっとり。「わあ、なんて素敵な声なんだろう!キリギリスさん、どうしたらそんなに上手に歌えるの?何を食べているの?」と尋ねました。
キリギリスさんは得意そうに言いました。「それはね、朝露を飲んでいるからさ。朝露は最高のごちそうだよ。」
「朝露だって?よし、ぼくも今日から朝露だけを飲んで、素敵な声になろう!」ロバくんはそう決めました。
次の日から、ロバくんはいつものおいしい草を食べるのをやめて、朝露だけをペロペロなめ始めました。でも、朝露はほんの少ししかありません。お腹はぺこぺこ、体もだんだん弱っていきました。声もかすれて、前よりもっとひどい声になってしまいました。
そして、とうとうロバくんは、きれいな声で歌うどころか、元気に歩くことさえできなくなってしまいました。キリギリスさんにはぴったりの食べ物でも、ロバくんには合わなかったのですね。
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