ゼウスと亀
イソップ寓話
空の上、雲のずっと上には、神様たちの王様、ゼウスさんが住んでいました。ある日、ゼウスさんは盛大な結婚式を開くことにしました。森の動物たち、空の鳥たち、海の魚たちまで、みーんな招待されました。
パーティー当日、動物たちはみんなおしゃれをして、ゼウスさんのお城に集まりました。美味しいごちそうを食べて、歌ったり踊ったり、それはそれは楽しいパーティーでした。
でも、あれ? カメさんだけが来ていません。ゼウスさんは不思議に思いました。「おや、カメはどうしたのかな? どうして来ていないんだい?」
パーティーも終わりに近づいたころ、のっそりのっそり、カメさんがやってきました。
ゼウスさんは尋ねました。「カメさん、どうしてこんなに遅れたんだい?みんな君を待っていたんだよ。」
するとカメさんは、こう言いました。「ああ、ゼウス様。お招きは嬉しかったのですが、やっぱり自分のおうちが一番落ち着くものですから。おうちでのんびりしていたら、つい遅くなってしまいました。」
それを聞いて、ゼウスさんは、ちょっとむっとしました。「そうかい。そんなにおうちが好きなら、これからはずっとおうちを背負って歩くがいい。そうすれば、どこへ行ってもおうちと一緒だからのう。」
それからというもの、カメさんは重たい甲羅をおうちとして、いつも背中にしょって歩くことになったのです。どこへ行くにも、大切なおうちと一緒というわけですね。
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