蟹とその母
イソップ寓話
太陽がキラキラ輝く、ある海辺の砂浜で、カニの親子がお散歩していました。
子ガニは、ちょこちょこ、ちょこちょこと、楽しそうに横歩きしています。
それを見ていたお母さんガニが言いました。
「あらあら、あなた。どうしてそんなに横に歩くの? まっすぐ前を見て、まっすぐ歩きなさいな。その方がかっこいいわよ。」
子ガニはきょとんとして、お母さんガニを見上げました。
「えー、お母さん。まっすぐ歩くって、どうやるの? ぼく、見たことないよ。お母さんがお手本を見せてくれたら、ぼくもやってみる!」
「もちろんよ。まっすぐ歩くのは簡単よ。こうやって…」
お母さんガニはそう言って、一生懸命まっすぐ歩こうとしました。
でも、足を動かせば動かすほど、やっぱり体は右へちょこちょこ、左へちょこちょこ。
どうしても、いつものように横にしか進めません。
お母さんガニは、なんだか顔が赤くなってしまいました。
子ガニはそれを見て、にっこり。
「お母さんも、横歩きが上手だね!」
お母さんガニも、ちょっぴり恥ずかしそうに笑いました。
それから二匹は、また仲良くちょこちょこと、横に並んでお散歩を続けたのでした。
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