お腹をぺこぺこにすかせた一匹の犬が、美味しいものを探してテクテク歩いていました。
あちこち探していると、やったあ！肉屋さんの店先で、とっても美味しそうな大きな骨を見つけました。
「わーい、ごちそうだ！」犬は大喜びでその骨をしっかり口にくわえると、静かな場所でゆっくり食べようと、お家に向かいました。

途中、小さな川にかかった橋を渡っていました。
ふと川の水面を見ると、そこにもう一匹の犬がいます。そして、その犬も大きな骨をくわえているではありませんか！
「おや？あいつの骨、僕のよりずっと大きく見えるぞ。よし、あいつをびっくりさせて、あの骨も僕のものにしちゃおう！」
そう思った欲張りな犬は、水の中の犬に向かって、力いっぱい「ワン！」と吠えました。

すると、どうでしょう！
口を開けたとたん、くわえていた大切な骨が、ぽちゃんと音を立てて川の中に落ちてしまいました。
水面の犬も、その犬がくわえていたように見えた骨も、波と一緒にどこかへ消えてしまいました。
実は、それは水に映った自分の姿だったのです。
結局、欲張りな犬は自分の骨まで失くしてしまい、お腹をすかせたまま、しょんぼりと帰るしかありませんでした。

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