• なぞ

    グリム童話
    ある国に、それはそれは美しいけれど、ちょっぴり気難しいお姫様がいました。お姫様は謎々が大好きで、結婚相手にも難しい謎々を出しました。「もし謎が解けたら結婚しましょう。でも、もし解けなかったら…もう二度と私の前に現れないでちょうだい!」と宣言するのです。たくさんの王子様が挑戦しましたが、誰も解けずにがっかりして帰っていきました。

    そこへ、ある日、賢くて勇気のある一人の王子様がやってきました。お姫様はにっこり笑って、いつものように謎々を出しました。
    「さて、王子様。私の謎々が解けるかしら?『だれも殺していないのに、十二をやっつけたもの、なーんだ?』三日以内に答えられなければ、お城から出て行ってもらうわよ。」

    王子様は三日間の猶予をもらいました。最初の二日間、王子様は一生懸命考えましたが、答えはさっぱりわかりません。お城の庭を歩き回り、図書室で本を読みあさり、うーんうーんと頭をひねりました。

    三日目の朝、王子様は気分転換に森の奥深くまで散歩に出かけました。すると、古びた木の下に、なんと十二人の人が横たわっていました。そして、そのうちの一人の肩に、一羽の大きなカラスがとまって、何かをつんつんとついばんでいるではありませんか。
    王子様はそれを見て、はっとしました。「わかったぞ!あれだ!」

    王子様はお城に急いで戻り、お姫様の前に進み出ました。
    「お姫様、謎々の答えがわかりました。それはカラスです!カラスは誰も殺していません。でも、森で見たのです。カラスが、横たわっていた十二人のうちの一人をついばんでいました。だから、カラスは『十二をやっつけた』のです!」

    お姫様はびっくり!目はまん丸です。ちょっぴり悔しそうでしたが、約束は約束です。「まあ、正解だわ!あなた、本当に賢いのね!」
    こうして、王子様とお姫様は盛大な結婚式を挙げました。

    でも、お姫様はまだ少しだけ王子様に意地悪をしたかったのです。結婚式の夜、お姫様はこっそり家来に言いました。「王子様の部屋に行って、眠っているところをこっそり驚かせておやり!」
    しかし、賢い王子様はそんなことお見通しでした。ベッドには自分そっくりのかかしを寝かせ、自分はカーテンの後ろにそっと隠れていました。家来たちはかかしを王子様だと思って、わっと声をかけましたが、かかしはうんともすんとも言いません。家来たちは首をかしげて帰っていきました。

    次の日も、お姫様は別の方法で王子様を困らせようとしましたが、王子様はいつも一枚上手で、ひらりひらりとかわしてしまいます。
    とうとうお姫様は降参しました。「王子様、あなたは本当に賢くて、素晴らしい方ね!もう意地悪はしませんわ。」
    王子様はにっこり笑いました。

    それから二人は、時々面白い謎々を出し合ったり、一緒に笑ったりして、いつまでもいつまでも仲良く幸せに暮らしましたとさ。

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