• 金の鍵

    グリム童話
    ある寒い冬の日、雪がふわふわと空から舞い降りていました。地面はあっという間に真っ白なじゅうたんみたい。

    「うー、さむい、さむい!」小さな男の子が、ぶるぶる震えながら森の中を歩いていました。お母さんに頼まれて、たきぎを拾いに来たのです。でも、手も足もかじかんで、もうこれ以上は無理みたい。

    「そうだ、火をおこそう!」男の子は思いました。少しでも暖まれば、また元気が出るはずです。

    男の子は、雪を一生懸命かき分け始めました。地面が見えるくらいまで雪をどけて、どけて…。
    すると、「あっ!」何かがキラリと光りました。
    「なんだろう?」
    よく見ると、それは、小さな、小さな、金の鍵でした。ピカピカ光って、とてもきれいです。

    「わあ、金の鍵だ!」男の子は嬉しくなりました。「鍵があるってことは、きっと鍵穴もあるはずだ!」
    そう思って、男の子はさっきよりもっと深く雪を掘ってみました。ザクザク、ザクザク。

    すると今度は、鉄の小さな箱が出てきました。
    「あった!きっとこの箱の鍵にちがいない!」
    男の子は箱を手に取り、鍵穴を探しました。「どこかな、どこかな?」箱をくるくる回して探しました。
    やっと見つけたのは、とっても小さな穴でした。本当に小さいので、普通の鍵じゃ絶対に入りそうもありません。

    男の子は、さっき見つけた金の鍵を、そーっとその穴に差し込んでみました。
    「ぴったりだ!」
    まるでこの箱のために作られたみたいに、鍵はすっぽりと鍵穴におさまりました。

    男の子は、ドキドキしながら鍵をゆっくりと回しました。カチリ。
    さあ、箱の中には、いったい何が入っているのでしょうね?
    それは、男の子が箱のふたをすっかり開けて、中身を取り出すまで、私たちも楽しみに待っていなければなりません。
    そうすれば、その箱の中にどんな素敵なものが入っていたか、きっとわかるでしょう。

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