• ランクルじいさん

    グリム童話
    高い高い塔の上に、一人のお姫様が住んでいました。
    実は、このお姫様、ある国の王様から結婚を申し込まれたのですが、ちょっぴり困ったことになったのです。
    お姫様は言いました。「私が乗っても滑り落ちないガラスの山を作ってくれたら、あなたと結婚しますわ。」
    王様は一生懸命作りましたが、ツルツル滑るガラスの山なんて、やっぱり無理でした。お姫様はがっかりして、塔に閉じこもってしまったのです。

    何日も何日も塔の中で過ごしていると、ある晩、コンコン、と窓を叩く音がしました。
    見ると、そこには奇妙な格好をした小さなおじいさんが立っていました。「わしはリンクランクじいさんじゃ。ここから出してやろうか?」
    お姫様はびっくり。「どうやって?」
    「簡単じゃ。わしの家に来て、家事をしてくれればいい。」
    お姫様は外に出たくてたまりません。「はい、そうします!」

    リンクランクじいさんは、あっという間にお姫様を塔から降ろし、森の奥深くにある洞穴の家へ連れて行きました。
    そこでお姫様は毎日、お掃除をしたり、お料理を作ったり、お洗濯をしたり。でも、おじいさんはいつも不機嫌で、お姫様はだんだん悲しくなってきました。
    リンクランクじいさんは、お姫様が逃げ出さないように、いつも見張っていました。

    ある日、お姫様はいいことを思いつきました。
    「リンクランクじいさん、あの窓から外を見てくださいな。何か面白いものが見えますよ!」
    おじいさんが窓に近づいて外を覗き込んでいる隙に、お姫様はそーっと後ろから近づき、ドン!と背中を押して、ガチャリと鍵をかけてしまいました!
    「やったわ!」お姫様は大急ぎで洞穴を飛び出し、自分の国へと走って帰りました。

    王様は、お姫様が無事に戻ってきたのを見て大喜び。
    そして、二人は今度こそ本当に結婚して、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。

    洞穴に閉じ込められたリンクランクじいさん?うーん、その後どうなったかは、誰も知りません。

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