門番の息子
アンデルセン童話
みんな、門番さんって知ってるかな?大きなお屋敷の門を守る、とっても大事なお仕事をする人だよ。今日お話しするのは、そんな門番さんの、賢くて心優しい息子のゲオルグのお話。
ゲオルグは、お父さんが働く立派なお屋敷の、地下にある小さなお部屋に住んでいたんだ。でもね、ゲオルグの心はいつも、お日様みたいに明るい上の階の、きらびやかな世界に憧れていた。特に、そのお屋敷に住んでいる、参事官という偉い人の娘さん、エミリーのことが大好きだったんだ。エミリーはとっても優しくて、お花みたいに可愛らしい女の子だったからね。
ゲオルグはこっそりエミリーの絵を描いたり、粘土で小鳥や動物を作ったりするのが得意だった。ある日、参事官さんがゲオルグの作った小さな粘土の犬を見つけて、びっくり!「これはすごい!なんて上手なんだ!」って褒めてくれたんだ。
参事官さんはゲオルグの才能に気づいて、遠くの街の学校へ行かせて、美術の勉強をさせてあげることにしたんだ。ゲオルグは嬉しくてたまらなかったけど、エミリーと離れるのは少し寂しかった。でも、「立派な芸術家になって、いつかエミリーに会うんだ!」と心に誓って、一生懸命勉強したよ。
何年も何年も経って、ゲオルグは本当に有名な彫刻家になった。彼の作る作品は、まるで生きているみたいに素晴らしくて、たくさんの人が感動したんだ。
ある日、ゲオルグは自分の生まれた町へ帰ってきた。そして、ドキドキしながら、昔住んでいたあのお屋敷を訪ねたんだ。すると、そこにいたのは、すっかり美しいお嬢さんになったエミリーだった。
ゲオルグは、昔みたいにただの門番の息子じゃない。今では立派な芸術家だ。でも、エミリーの前ではやっぱり緊張しちゃった。エミリーは、ゲオルグのこと、覚えていてくれるかな?
エミリーは、立派になったゲオルグを見て、そして彼の作った素晴らしい彫刻の数々を見て、とっても感動したんだ。「ゲオルグさん、あなたの作品はなんて心に響くんでしょう!」
実はね、エミリーもずっとゲオルグのことが忘れられなかったんだ。ゲオルグの優しさや、一生懸命な姿を、ずっと覚えていたんだよ。
身分なんて、もう関係なかった。二人はお互いの優しい心と、素晴らしい才能を深く愛し合った。そして、ゲオルグとエミリーは結婚して、いつまでもいつまでも、幸せに暮らしましたとさ。おしまい。
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