• コルベスさん

    グリム童話
    とっても仲良しの、おんどりさんとめんどりさんがいました。二羽は、小さくて素敵な馬車に乗って、コルベスさんのお家へお出かけすることにしました。

    馬車を引くのは、元気なねずみさんたちです。「しゅっぱーつ!」

    しばらく行くと、ねこさんに会いました。「どこへ行くの?」ねこさんが聞きます。「コルベスさんのお家だよ」「わたしも乗せて!」ねこさんは馬車に飛び乗りました。

    次は、ごろごろと重そうな石うすさん。「わたしも連れてって!」石うすさんも、よいしょと馬車に乗りました。

    その次は、ころんと転がってきた、たまごさん。「わたしも!」たまごさんも仲間入り。

    ぷかぷか泳いでいた、あひるさん。「わたしもご一緒させて!」あひるさんも乗りました。

    ちくりとするピンさんと、縫い針さんもやってきました。「わたしたちも!」「わたしたちも!」

    みんな、ぎゅうぎゅうになって馬車に乗りました。「コルベスさんのお家へ、レッツゴー!」

    やっとコルベスさんのお家に着きましたが、残念、コルベスさんはお留守でした。
    そこで、みんなはかくれんぼみたいに、お家の中に隠れることにしました。

    ねずみさんたちは馬車を車庫に入れ、おんどりさんとめんどりさんは高い棚の上へぴょん。
    ねこさんは暖炉のそばでぬくぬく。
    あひるさんは台所の水桶の中にぷかーん。
    たまごさんはタオルの中にそっとくるまりました。
    ピンさんは椅子のふかふかクッションにちくっ。
    縫い針さんはベッドの枕の中にすっぽり。
    そして石うすさんは、えっちらおっちら、ドアの上まで登って、じっと待ちました。

    さて、コルベスさんがお家に帰ってきました。「ふう、疲れた。ちょっと暖炉で暖まろうかな。」
    暖炉に近づくと、ねこさんが「シャーッ!」と飛びかかって、顔をひっかきました。「いたたた!」

    コルベスさんは顔を洗おうと、台所へ行きました。水桶に手を入れると、あひるさんがバシャバシャ!と水をはねさせました。「うわっ、冷たい!」

    タオルで顔を拭こうとすると、あらら、たまごさんがパリン!と割れて、顔中べとべと。「なんだこれ!」

    びっくりして、ちょっと休もうと椅子に座ったら、「イタッ!」ピンさんがお尻をちくり。「もう、なんなんだ!」

    くたくたになってベッドに倒れ込むと、今度は枕から縫い針さんが「チクッ!」。「痛いじゃないか!」

    コルベスさんは、もうかんかんです。「こんな家、もういやだ!」
    怒ってドアから飛び出そうとした、その瞬間。ドアの上で待っていた石うすさんが「ドッシーーン!」と落ちてきて、コルベスさんの上に。

    さあ、大変!コルベスさんはびっくりして、動けなくなってしまいましたとさ。

    2060 閲覧数