火を盗んだプロメテウス
ギリシア神話
昔々、まだ人間たちが火というものを知らなかった頃のお話です。
人間たちは、寒くて暗い洞窟で、ブルブル震えながら暮らしていました。夜は真っ暗で、怖い動物たちが近づいてくることもありました。温かい食べ物も作れず、みんな元気がない様子でした。
そんな人間たちを、空の上から見ていた優しい巨人がいました。彼の名前はプロメテウス。プロメテウスは思いました。「かわいそうに。彼らに火をあげたら、きっと生活が良くなるだろうな。」
でも、神様たちの王様であるゼウスは、人間たちに火を与えることを許しませんでした。「火は神様だけのものだ。人間にはまだ早い!」とゼウスは言いました。
プロメテウスは悩みましたが、やっぱり人間たちを助けたいと思いました。そこで、こっそりと太陽の戦車に近づき、一本の長い茎の中に、小さな火種を隠して持ち帰りました。
そして、その火を人間たちにプレゼントしたのです。
「わあ、明るい!」「あったかい!」人間たちは大喜び。
火のおかげで、夜も明るくなり、動物たちも怖がって近づかなくなりました。温かいご飯も食べられるようになり、みんなの顔に笑顔が戻りました。
しかし、このことを知ったゼウスはカンカンに怒りました。「プロメテウスめ、私の言いつけを破るとは!」
怒ったゼウスは、プロメテウスを高い山のてっぺんに鎖でつなぎました。そして、毎日大きなワシがやってきて、プロメテウスの肝臓を食べるという罰を与えたのです。プロメテウスはとても苦しみました。でも、人間たちが火を使って幸せに暮らしていることを思うと、少しだけ心が安らぎました。
プロメテウスのおかげで、人間たちは火を手に入れ、文明を築いていくことができたのです。だから、今でも私たちは、プロメテウスの勇気と優しさを忘れてはいけないのですね。
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