• 創世神話と巨神戦争

    ギリシア神話
    まだ、なーんにもない、まっくらな宇宙のときのこと。

    そこに、ぽっかりと大地のお母さん「ガイア」と、空のお父さん「ウラノス」が生まれました。二人はとっても仲良しで、たくさんの子どもたちを産みました。それが、大きくて力持ちの「タイタン」族です。サイクロプスという一つ目巨人の兄弟や、ヘカトンケイルという手が百本もある兄弟も生まれました。

    でも、ウラノスお父さんは、サイクロプスやヘカトンケイルたちの見た目がちょっと怖かったので、ガイアお母さんのお腹の奥深く、タルタロスという暗い場所に閉じ込めてしまいました。ガイアお母さんは、子どもたちがかわいそうで、とっても悲しみました。

    そこで、タイタン族の中でも一番年下だけど賢くて勇気のある「クロノス」が、お母さんを助けるために立ち上がりました。「お父さん、もう弟たちをいじめないで!」クロノスはウラノスお父さんを空のずっと遠くへ追いやって、新しい神様たちの王様になりました。

    王様になったクロノスですが、今度は自分も子どもに王様の座を奪われるんじゃないかと、毎日ドキドキしていました。だから、奥さんの「レア」との間に赤ちゃんが生まれるたびに、なんと、ごっくん!と飲み込んでしまったのです。ヘスティア、デメテル、ヘラ、ハデス、ポセイドン…みんなクロノスのお腹の中です。

    レアお母さんは悲しくてたまりません。次に生まれた「ゼウス」だけは助けたい!と考えました。そこで、ゼウスをこっそりクレタ島という島にかくして、クロノスには赤ちゃんそっくりの石を布でくるんで「はい、どうぞ」と渡しました。クロノスは気づかずに、石をゴクン!

    ゼウスはクレタ島ですくすく元気に育ちました。そして大きくなると、お父さんのクロノスにこっそり特別なお薬を飲ませました。すると、あら不思議!クロノスのお腹から、ごぼごぼごぼー!と、飲み込まれていたお兄さんやお姉さんたちが、みんな元気に飛び出してきました!

    さあ、大変!ゼウスたち兄弟姉妹(のちにオリンポスの神々と呼ばれます)と、クロノスお父さんたちタイタン族との、大戦争が始まりました。これを「ティタノマキア」と言います。

    ゼウスは、昔ウラノスお父さんに閉じ込められていたサイクロプスおじさんたちとヘカトンケイルおじさんたちを助け出しました。サイクロプスたちはお礼に、ゼウスにはピカピカ光る雷の武器「ケラウノス」を、ポセイドンには海の力を操る三叉の矛「トライデント」を、ハデスには姿を消せる魔法の兜「キュネエ」を作ってくれました。ヘカトンケイルたちは百本の手で大きな岩をブンブン投げつけます。

    戦いは10年も続きましたが、ゼウスたちのチームが、ついに勝利しました!

    クロノスたち負けたタイタン族は、今度は自分たちがタルタロスに閉じ込められることになりました。そして、ゼウスが新しい神様たちの王様になり、空を。ポセイドンが海を。ハデスが地下の世界を、それぞれ治めることになったのです。こうして、世界に新しい平和がやってきました。めでたし、めでたし…かな?

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