ジョカの人間創造
中国神話
空と大地が生まれたばかりの、とってもとっても昔のこと。美しい女神さま、ジョカがいました。世界は広くて、お日さまも月も星もキラキラ輝いていましたが、ジョカはなんだか一人ぼっちで、ちょっぴり寂しい気持ちでした。
「うーん、きれいな景色だけど、お話しする相手もいないし、なんだかつまらないわ」
ジョカは池のほとりを歩きながら、水面に映る自分の姿を見つめました。
「そうだ!私みたいに、笑ったり、おしゃべりしたりする仲間がいれば、きっと楽しいはず!」
ジョカは、黄色い泥を手に取り、こねこね、ぺたぺた。自分の姿に似せて、小さな人形を作り始めました。鼻をつくり、口をつくり、目をつくり…丁寧に、丁寧に。
そして、その人形に「ふーっ」と優しく息を吹きかけると、あら不思議!
人形はぱちっと目を開けて、手足を動かし、ぴょんぴょん跳ね回り始めました。「わーい!」なんて言いながら、ジョカの周りを元気に遊びだしたのです。ジョカは嬉しくなって、にっこり。
「これはいいわ!」
ジョカは次から次へと、泥で人形を作りました。一人、また一人と仲間が増えていくのは、とっても楽しいことでした。でも、世界は広いので、たくさんの人形を作るのは、だんだん大変になってきました。ジョカはちょっと疲れちゃったのです。
「もっと早く、たくさん作れないかしら?」
そこで、ジョカは賢いことを思いつきました。近くにあった長い蔓(つる)を一本持ってきて、泥水の中にぴちゃぴちゃと浸しました。そして、その泥のついた蔓を、えいっ!と空に向かってぶんぶん振り回したのです。
すると、泥のしずくがあちこちに飛び散って、ぽとん、ぽとんと地面に落ちました。その泥のしずくも、みるみるうちに小さな人間になりました。こうして作られた人たちは、最初に丁寧に作られた人たちとは少しだけ違いましたが、みんな元気に動き回り、おしゃべりを始めました。
あっという間に、大地はたくさんの人々でいっぱいになりました。男の人も女の人もいて、みんな笑ったり、歌ったり、お話ししたり。世界はとってもにぎやかになりました。
ジョカは、それを見て、心から嬉しそうに微笑みました。
「これで、もう寂しくないわね!」
こうして、ジョカのおかげで、地上にはたくさんの人々が暮らすようになったのだそうです。
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