矛盾
中国寓話
ある日、とってもにぎやかな市場がありました。そこには、いろんなお店が並んでいて、たくさんの人が買い物に来ていました。
その中に、元気いっぱいの武器屋さんがいました。武器屋さんは、ピカピカの盾を高く掲げて言いました。
「さあさあ、見てください!この盾は、世界で一番じょうぶな盾ですよ!どんな鋭い剣や槍も、この盾には絶対に穴を開けられません!」
お客さんたちは「へえー、すごいなあ」と感心しています。
次に、武器屋さんはキラキラ光る槍を手に取りました。
「そしてこちらが、世界で一番鋭い槍です!どんな硬いものでも、この槍ならスパッと貫いてしまいますよ!」
みんなが「おおー!」と声を上げています。
すると、群衆の中から一人の男の子が手を挙げて尋ねました。
「ねえ、武器屋さん。もし、その何でも貫いちゃう槍で、その絶対に穴が開かない盾を突いたら、どうなるんですか?」
武器屋さんは、「えっ?」と目をパチクリ。
それから、「うーん…ええと…それは…」とだんだん声が小さくなって、とうとう何も言えなくなってしまいました。
周りの人たちは、顔を見合わせてクスクス笑いました。武器屋さんは、ちょっと恥ずかしそうに頭をかいていました。
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