ある日、森の近くで、まるまると太ったワンちゃんが、お腹をペコペコにすかせたオオカミさんに出会いました。

ワンちゃんは言いました。「オオカミさん、こんにちは！なんだか元気がないみたいだね。」

オオカミさんはため息をついて言いました。「ああ、ワンちゃんか。もう何日も何も食べてなくてね…お腹が空いてフラフラだよ。」

それを聞いたワンちゃんは、得意そうに胸を張りました。「それは大変だ！よかったら、僕のおうちに来ない？美味しいごはんが毎日たくさん食べられるよ。それに、あったかい寝床もあるんだ。」

オオカミさんの目がキラリと光りました。「本当かい？それは夢みたいだ！ぜひ連れて行ってほしいな。」

オオカミさんは大喜びで、ワンちゃんについていくことにしました。おうちに向かう途中、オオカミさんはワンちゃんの首の周りの毛が、少し薄くなっているのに気づきました。

「ねえ、ワンちゃん」とオオカミさんが尋ねました。「君の首のところ、どうしたんだい？なんだか毛がすり減っているみたいだけど。」

ワンちゃんは気にしない様子で答えました。「ああ、これかい？これはね、昼間、僕が繋がれている首輪の跡だよ。でも、夜になったら外してもらえるし、美味しいごはんのためなら、これくらい平気さ！」

それを聞いたオオカミさんの顔つきが変わりました。「繋がれるだって？つまり、自由がないっていうことかい？」

ワンちゃんは首をかしげました。「うーん、まあ、そうとも言えるけど…でも、お腹いっぱい食べられるんだよ？」

オオカミさんは、少し考えてから、静かに首を横に振りました。「ワンちゃん、ありがとう。でも、僕はどんなに美味しいごはんよりも、自由に森を駆け回る方がいいや。お腹が空いていても、自由な方がずっと幸せなんだ。」

そう言って、オオカミさんは森の中へ帰っていきました。ワンちゃんは、ちょっと残念そうに、その姿を見送るのでした。

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