狼と子羊
イソップ寓話
森の奥、きれいな小川が流れていました。
そこへ、お腹をすかせた一匹のオオカミがやってきました。川の上流で水をゴクゴク飲んでいると、川下で小さな子羊が水を飲んでいるのが見えました。
オオカミは子羊を食べたくてたまりません。何か言いがかりをつけようと考えました。
「おい、そこの子羊!お前が水を飲むから、私の水が泥水になるじゃないか!」とオオカミは怒った声で言いました。
子羊はびっくりして答えました。「え?でも、オオカミさんは川上にいらっしゃって、私は川下にいますよ。私が水を汚しても、オオカミさんのところへは流れていきません。」
オオカミは「むむっ」と少し考えましたが、また言いました。「じゃあ、去年のことだ!お前、去年私の悪口を言っていたな!」
子羊は困った顔で言いました。「去年ですか?私はまだ生まれていませんでした。今年生まれたばかりなんですよ。」
オオカミはますますイライラしてきました。「うーむ…それなら、お前の父親か母親だ!いや、お前の一族の誰かが私の悪口を言ったに違いない!」
子羊は悲しそうに言いました。「そんな…。それに、もし家族の誰かがそんなことをしたとしても、それは私のせいではありません…。」
するとオオカミは、もう我慢できないというように叫びました。「うるさい、うるさい!言い訳はもうたくさんだ!どっちにしろ、お前を食べるつもりだったんだからな!」
そう言うと、オオカミはかわいそうな子羊に飛びかかり、ペロリと食べてしまいました。
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