• ロバとラバ

    イソップ寓話
    太陽がキラキラ輝く、気持ちのいい朝のこと。
    ロバさんとラバさんが、旅をしていました。二人とも、背中には重たい荷物をしょっています。
    特にロバさんの荷物は、パンパンにふくらんでいて、見ているだけでも大変そうです。

    坂道をえっちらおっちら登っていると、ロバさんがハアハアと息を切らし始めました。
    「ラバさん、ラバさん。お願いがあるんだけど…」
    ロバさんは、汗をふきふき言いました。
    「僕の荷物、ほんの少しでいいから、代わりに持ってくれないかな?もう、足がガクガクなんだ。」

    でも、ラバさんは自分の荷物だって重いので、ちょっと意地悪な気持ちになりました。
    「えー、いやだよ。自分の荷物は自分で運ばなくちゃ。僕だって大変なんだからさ。」
    ラバさんは、ぷいっと横を向いてしまいました。

    ロバさんはがっかりして、また重い足取りで歩き始めましたが、とうとう力尽きてしまいました。
    「もう…だめだ…」
    そう言うと、ロバさんは地面にばたっと倒れて、動かなくなってしまったのです。

    それを見ていた飼い主さんは、ため息をつきました。
    「やれやれ、困ったことになった。仕方ない、ラバ。お前がロバの荷物も全部運んでおくれ。」
    それだけではありません。飼い主さんは、ロバさんの皮もはいで、ラバさんの荷物の一番上に乗せました。

    ラバさんは、あまりの重さに目が飛び出そうになりました。
    「うわぁっ!なんてことだ!さっき、ロバさんの荷物を少しでも持ってあげていれば、こんなことにはならなかったのに…。自分の荷物より、ずっとずっと重くなっちゃったじゃないか!」
    ラバさんは、後悔しながら、よろよろと坂道を登っていくしかありませんでした。もしあの時、少しだけ優しくしてあげていたら、と何度も何度も思ったそうです。

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