二人の兵士と強盗
イソップ寓話
タッタカター、タッタカター。二人の兵隊さんが、元気よく道を歩いていました。一人はとっても強そうで、もう一人も、まあまあ強そうに見えました。
そのときです!「うわーっ!」森の茂みから、大きな強盗が剣をふりかざして飛び出してきました。「持っているものを全部置いていけ!」強盗は怖い顔でどなりました。
まあまあ強そうに見えた兵隊さんは、びっくり仰天!「た、助けてー!」と叫びながら、一目散に逃げ出してしまいました。あっという間に、姿が見えなくなってしまいました。
でも、もう一人の本当に強そうな兵隊さんは逃げません。「ようし、かかってこい!」と剣を抜き、強盗と勇敢に戦いました。エイ!ヤー!トウ!しばらく戦うと、ついに強盗を打ち負かしました。「ふう、危なかった。」兵隊さんはホッとしました。
すると、さっき逃げ出した兵隊さんが、そろーりそろーりと戻ってきました。そして、剣を抜いて大きな声で言いました。「どうだ、強盗め!俺たちが力を合わせれば、お前なんか怖くないぞ!いやあ、危ないところだったけど、僕が大きな声を出したから、強盗もびっくりして逃げたのかな?」
勇敢に戦った兵隊さんは、それを聞いて言いました。「おいおい、何を言っているんだい?君は僕を置いて、一番に逃げ出したじゃないか。本当に勇敢なら、さっき僕と一緒に戦っていたはずだよ。戦いが終わってから威張っても、誰も信じないよ。」
逃げ出した兵隊さんは、顔を真っ赤にして、何も言えなくなってしまいました。
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