太陽がキラキラ輝いて、お花がたくさん咲いている、そんな暑い夏の日でした。

アリさんは、小さな体でせっせと食べ物を運んでいます。「よいしょ、よいしょ。冬になったら食べ物がなくなるから、今のうちに集めておかないとね。」汗をふきふき、一生懸命です。

そこへ、キリギリスさんがバイオリンを弾きながらやってきました。「やあ、アリさん。そんなに汗をかいてどうしたの？こんなにいいお天気なんだから、一緒に歌って踊ろうよ！夏は楽しまなくちゃ！」キリギリスさんは楽しそうに言いました。

アリさんは、「キリギリスさん、こんにちは。でも、遊んでいる場合じゃないんだ。冬の準備をしなくちゃ、食べ物がなくなっちゃうからね。」と言って、また食べ物を運び続けました。

キリギリスさんは「ふーん、冬なんてまだまだ先だよ。僕は今を楽しむんだ！」と、またバイオリンを弾きながら、どこかへ行ってしまいました。

やがて、暑い夏が終わり、葉っぱが赤や黄色に色づく秋が来て、そして、ビュービューと冷たい風が吹く寒い冬がやってきました。野原は真っ白な雪で覆われ、食べ物なんてどこにも見当たりません。

キリギリスさんは、お腹がペコペコで、寒くてブルブル震えています。「ああ、お腹が空いたよお。寒いよお。どこかに食べ物はないかなあ。」

そのとき、アリさんのおうちを思い出しました。アリさんのおうちは、夏の間、一生懸命集めた食べ物でいっぱいで、とても暖かそうです。キリギリスさんは、フラフラになりながらアリさんのおうちのドアをトントンと叩きました。

「アリさん、お願いです。何か食べるものを少し分けてくれませんか？もう、お腹が空いて動けません。」キリギリスさんは泣きそうでした。

ドアを開けたアリさんは、痩せて寒そうにしているキリギリスさんを見て言いました。「キリギリスさん、夏の間、ぼくが一生懸命働いているとき、君は何をしていたんだい？」

キリギリスさんはしょんぼりして、「僕は…歌ったり、踊ったりして遊んでいました…。」と小さな声で答えました。

アリさんはため息をつきましたが、「困ったキリギリスさんだなあ。でも、今回は少しだけ分けてあげるよ。でもね、次からはちゃんと働くんだよ。楽しいことばかりじゃなくて、やらなきゃいけないこともあるんだからね。」と言って、キリギリスさんにお部屋に入ってもらい、温かいスープとパンを分けてあげました。

キリギリスさんは、アリさんから食べ物をもらって、とても感謝しました。そして、夏に遊んでばかりいたことを反省しました。「アリさん、ありがとう。来年の夏は、ぼくもちゃんと働くよ。」

それからというもの、キリギリスさんも少しずつ働くことの大切さを学んだということです。

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