• 極楽浄土の童話

    グリム童話
    あるところに、それはそれはふしぎな国がありました。その国の名前は「らくらく天国」。そこでは、びっくりするようなことばかり起こるんです。

    たとえばね、こんがり焼けたブタさんが、「ぼくを食べて!」とフォークとナイフを背中にさして、テクテク歩いているんですよ。お腹がすいたら、そのブタさんを「いただきまーす!」ってすればいいんです。

    川には牛乳やあまーいジュースが流れていて、魚の代わりに、おいしいお菓子がぷかぷか浮いています。釣りをすれば、チョコレートやクッキーが釣れちゃうんです。

    家はパンやケーキでできていて、屋根はチョコレートの瓦。雨が降ると、それはそれは甘いシロップの雨なんです。だから、傘をさす代わりに、みんな大きなスプーンを持って外に出るんですよ。

    木には、パンケーキやソーセージが鈴なりになっています。お金も、葉っぱみたいに木からひらひら落ちてくるから、拾い放題。

    でもね、この「らくらく天国」へ行くには、ちょっとした試練があるんです。それは、おかゆでできた大きな大きな山を、ぜーんぶ食べきらなくちゃいけないこと!スプーン一杯でも残しちゃだめ。全部食べられた人だけが、その国へ入れるんですって。

    そこに住んでいる人たちは、一日中、のーんびり。勉強もしなければ、お仕事もしません。だって、お腹がすいたら、木になっているソーセージをもいだり、空から降ってくるドーナツを口でキャッチしたりすればいいんですから。

    一番えらい人は、一番長く寝ていられる人。一番お金持ちは、一番怠け者の人なんですって。もし誰かがうっかり仕事でもしようものなら、「なんてことするんだ!」ってみんなに怒られちゃうくらい。

    どうです?行ってみたいですか?でも、おかゆの山を食べるのは、ちょっと大変そうですね!

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