甘いおかゆ
グリム童話
むかし、むかし…じゃなくて、そう遠くない昔のこと。あるところに、とっても心の優しい女の子がお母さんと二人で暮らしていました。でも、家は貧しくて、食べるものもほとんどありませんでした。お腹はいつもぺこぺこです。
ある日、女の子は食べ物を探しに森へ入っていきました。すると、向こうから一人のおばあさんがやってきました。おばあさんは女の子の寂しそうな顔を見て、優しく声をかけました。「どうしたんだい?お腹がすいているのかい?」
女の子が頷くと、おばあさんはにっこり笑って、小さな古いお鍋をくれました。「このお鍋にね、『お鍋さん、お鍋さん、おいしいおかゆを作っておくれ!』って言うんだよ。そうすれば、甘くておいしいおかゆがどんどん出てくるから。そして、『お鍋さん、お鍋さん、もういいよ、止まっておくれ!』って言えば、おかゆは止まるんだよ。」
女の子はお礼を言って、お鍋を持って家に帰りました。さっそくお母さんと一緒に「お鍋さん、お鍋さん、おいしいおかゆを作っておくれ!」と言ってみると、あら不思議!お鍋からはほかほかと湯気の立つ、甘いおかゆが溢れ出てきました。二人はお腹いっぱいおかゆを食べて、とっても幸せになりました。
ある日、女の子がお出かけしている間に、お母さんはお腹がすきました。「そうだわ、あのお鍋があるじゃない!」お母さんは「お鍋さん、お鍋さん、おいしいおかゆを作っておくれ!」と言いました。すると、おいしいおかゆがどんどん出てきました。お母さんはお腹いっぱい食べましたが、止める言葉を忘れてしまったのです!
おかゆはお鍋から溢れ、台所いっぱいに広がり、家中に広がり、とうとう家の外へ流れ出してしまいました。道はおかゆの川になり、村中がおかゆで埋め尽くされそうになりました。「大変だ!誰か止めてー!」村の人たちは大騒ぎです。
ちょうどその時、女の子が帰ってきました。村の様子を見てびっくり!すぐに「お鍋さん、お鍋さん、もういいよ、止まっておくれ!」と叫びました。すると、お鍋はおかゆを作るのをピタッと止めました。
でも、村はもうおかゆだらけ。村の人たちは、家に戻るために、おかゆを一生懸命食べながら道を作らなければなりませんでした。それでも、みんな甘いおかゆをお腹いっぱい食べられたので、ちょっぴり嬉しかったかもしれませんね。
1780 閲覧数