オーディンの烏フギンとムニン
北欧神話
空のずっと上、神様たちが住むアスガルドという場所に、オーディンという、とっても賢い神様の王様がいました。オーディンには、二羽のとくべつなカラスの友達がいました。一羽はフギン、もう一羽はムニンといいます。フギンは「考えること」、ムニンは「覚えていること」という意味の名前です。二人合わせて「かしこいカラス」コンビです!
毎朝、太陽がキラキラと昇ると、フギンとムニンはオーディンの肩から飛び立ちます。ビュビューン!と空を飛んで、遠い遠い人間の世界や、他の不思議な世界まで冒険に出かけるのです。そこで見たこと、聞いたこと、面白いことや大変なこと、ぜーんぶ、しっかりと覚えてきます。
そして夕方、お日様が「おやすみなさい」と沈むころ、二羽はオーディンのもとへ帰ってきます。オーディンの大きな肩にとまって、「オーディン様、今日はこんなことがありましたよ」「あんなことも見ました!」と、小さな声で、でも大切なニュースを全部お話しするのです。
だからオーディンは、世界のすみずみで何が起こっているか、何でも知っているのです。フギンとムニンのおかげですね。
でも、オーディンは時々心配になります。「フギンが無事に帰ってくるだろうか。ああ、でもムニンが帰ってこなかったら、もっと心配だ…」と。だって、「覚えていること」がなくなってしまったら、大切なことを忘れてしまいますからね。
今日もきっと、フギンとムニンは元気に空を飛びまわって、たくさんのニュースをオーディンに届けていることでしょう。
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