みんなは、どうして春になるとお花が咲いて、冬になると葉っぱが落ちるのか、不思議に思ったことはあるかな？ 実はね、これには面白いお話があるんだ。

太陽の光がきらきら輝く地上には、プロセルピナという可愛らしい女の子がいました。プロセルピナはお花が大好きで、いつも野原でお花を摘んだり、蝶々を追いかけたりして遊んでいました。彼女のお母さんは、作物の女神ケレスです。ケレスは、プロセルピナのことを目に入れても痛くないほど可愛がっていました。

一方、地面のずーっと下、暗くて静かな地下の国には、プルートという王様が住んでいました。プルートは地下の国の支配者で、たくさんの宝物を持っていましたが、いつも一人で少し寂しそうでした。

ある日、プルートは地上に遊びに来ていたプロセルピナを見かけました。太陽の下で楽しそうにお花を摘んでいるプロセルピナは、キラキラと輝いて見えました。「なんてきれいな子だろう！」プルートは一目でプロセルピナが大好きになり、彼女を自分のお嫁さんにしたくてたまりません。そこで、プルートはプロセルピナをそっと抱き上げると、あっという間に自分の馬車に乗せて、地下の国へ連れて行ってしまいました。

プロセルピナがいなくなって、お母さんのケレスはびっくり仰天！「どこへ行ったの、プロセルピナ！」ケレスは悲しくて悲しくて、食べることも眠ることもできません。娘を探して世界中をさまよいました。ケレスが悲しんでいると、地上ではお花も咲かず、麦も育たず、果物も実らなくなってしまいました。畑は枯れ、木々は葉を落とし、人々は食べるものがなくて困ってしまいました。

これを見ていた神様たちの王様、ユピテルは心配になりました。「このままでは大変だ。ケレスを元気づけなければ、地上の生き物たちがみんな困ってしまう。」ユピテルはプルートに言いました。「プロセルピナを地上に帰してあげなさい。」

プルートはプロセルピナと一緒にいたかったので少し困りましたが、ユピテルの命令なので仕方ありません。でも、一つだけ条件がありました。「もしプロセルピナが地下の国で何も食べていなければ、地上に帰ることができます。でも、もし何か一口でも食べていたら、彼女は地下の国に残らなければなりません。」

さあ、大変！プロセルピナは、地下の国でお腹が空いて、プルートがくれたザクロの実をほんの数粒だけ食べてしまっていたのです！ ああ、どうしよう！

それを知ったユピテルは考えました。そして、こう決めました。「プロセルピナは、ザクロの実を食べた数だけ、一年のうち何ヶ月かは地下の国でプルートと一緒に過ごし、残りの月は地上でお母さんのケレスと一緒に過ごすことにしよう。」

こうして、プロセルピナがお母さんのケレスと一緒に地上にいる間は、ケレスが喜んで地上に春と夏がやってきます。お花が咲き乱れ、作物が豊かに実り、みんな笑顔になります。
でも、プロセルピナが地下の国へプルートの元へ行ってしまうと、ケレスは寂しくなってしまい、地上には秋と冬が訪れるのです。葉っぱが落ちて、寒くなるのは、そういうわけだったんですね。

だから、冬が来て寂しくなっても大丈夫。春になれば、プロセルピナはまた地上に戻ってきて、世界は再び明るく暖かくなるのです。

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