• ロバとキツネとライオン

    イソップ寓話
    広い野原に、のんびり屋のロバさんと、ずる賢いキツネさんがいました。
    「ねえ、ロバさん」とキツネさんが言いました。「今日は一緒に狩りに行かない?二人なら、きっとおいしいものが見つかるよ!」
    ロバさんは「うん、いいね!キツネさんと一緒なら心強いや」と答え、二人は森の奥へと出かけていきました。

    しばらく行くと、お腹をすかせた大きなライオンが、ガオーッ!と姿を現しました。
    ロバさんはびっくりしてブルブル震えだし、キツネさんも顔が真っ青です。
    「こ、これは大変だ…」キツネさんは頭をフル回転させました。

    そして、そっとライオンに近づき、小さな声で言いました。
    「ライオン様、どうか私だけは見逃してください。その代わり、あののんびり屋のロバを、近くの深い穴に落として差し上げますから。」
    ライオンはニヤリと笑って、「ほう、それは面白い。手伝ってくれるなら、考えてやろう」と言いました。

    キツネは急いでロバさんのところへ戻り、
    「ロバさん、大変だ!ライオンから逃げるには、こっちの道がいいよ!安全な隠れ場所を知っているんだ!」
    何も知らないロバさんは、「本当かい?ありがとう、キツネさん!君は本当に頼りになるなあ!」と、キツネについていきました。

    キツネはロバを巧みに誘導し、とうとう深い落とし穴のそばまで連れてきました。そして、ドン!とロバさんを突き落としてしまいました。
    「わーっ!」ロバさんは穴の底へまっさかさま。

    キツネは得意そうにライオンのところへ行き、「ライオン様、お約束通り、ロバは穴の中です!」と言いました。
    するとライオンは、「うむ、ご苦労だったな。だが、まずは約束を果たしてくれたお前から、ゆっくりいただくことにしよう」と言って、ガブリ!
    ずる賢いキツネは、あっという間にライオンに食べられてしまいました。
    そしてライオンは、ゆっくりと穴の中にいるロバさんのほうへ向かっていったのでした。

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