お日様もかくれんぼしているような、とっても寒い冬の日のことです。
畑の帰り道、やさしいお百姓さんが、雪の上で小さなヘビを見つけました。
ヘビは寒さでカチコチに凍えそうで、ほとんど動けません。
「ありゃりゃ、かわいそうに。このままじゃ死んじゃうよ」
お百姓さんはヘビをそっと拾い上げると、暖かい自分の懐に入れました。

お百姓さんがお家に着くころには、ヘビは少しずつ温まってきました。
お百姓さんはヘビを暖炉のそばにそっと置いてあげました。
「よしよし、もう大丈夫だよ」
しばらくすると、ヘビはすっかり元気になって、にょろにょろと動き出しました。
お百姓さんはにっこり。「よかった、よかった。元気になったんだね！」

そのときです！
元気になったヘビは、いきなりお百姓さんの手に「ガブッ！」と噛みついたのです。
「ああ、痛い！どうして？助けてあげたのに…」
お百姓さんはびっくりして、悲しくなりました。
ヘビは、助けてもらったことなんてすっかり忘れたかのように、シューッと音を立てています。

お百姓さんは、痛む手を見ながら、ため息をつきました。
「そうか…。ヘビはヘビなんだなあ。どんなに親切にしても、その怖い本性は変わらないんだね…。」
そして、残念そうにヘビを外に逃がしてやりました。

2054 閲覧数