世界がまだできたてホヤホヤで、キラキラしていた頃のお話だよ。

神様は、生き物たちにどれくらい生きる時間、「寿命」をあげるか考えていました。「よし、みんな30年にしよう！」と決めました。

最初にやってきたのはロバさん。「神様、30年は長すぎます。毎日重い荷物を運んで、最後は疲れ果ててしまいます。どうか12年分、お返しさせてください。」
神様は「そうかい？では、その12年は取っておこう」と言いました。ロバさんは喜んで、残りの18年をもらっていきました。

次に犬くんがやってきました。「神様、僕も30年は長すぎます。若い頃は元気に吠えて走り回れますが、年を取ったら歯も抜けて、隅っこで唸っているだけなんて寂しいです。どうか18年分、お返しさせてください。」
神様は「ふむ、それもそうか」と、その18年を預かりました。犬くんは嬉しそうに残りの12年をもらっていきました。

続いて猿くんが陽気にやってきました。「神様！僕も30年は長すぎます。いつもみんなを笑わせるために面白いことをしなくちゃいけませんが、年を取ったらそんな元気もなくなって、ただぼんやりするのはつまらないです。どうか20年分、お返しさせてください。」
神様は「よしよし」と、その20年も大切にしまいました。猿くんはピョンピョン跳ねて、残りの10年をもらっていきました。

最後に人間がやってきました。人間は元気いっぱいです。「神様、30年なんて短すぎます！家を建てて、畑を耕して、家族と楽しく暮らすには、あっという間です。もっともっと長く生きたいです！」

神様はにっこり。「ちょうどいいところに。ロバさんの12年、犬くんの18年、猿くんの20年があるんだが、いるかい？」
人間は目を輝かせました。「はい！ぜひください！」

こうして、人間は自分の30年に、ロバさんの12年、犬くんの18年、そして猿くんの20年を足して、合計80年生きることになりました。

だからね、人間の人生はこうなったんだ。
最初の30年は、人間らしく元気に働き、楽しく暮らしました。
次の12年は、ロバさんの年のように、毎日たくさんのものを背負い、黙々と働きました。
その次の18年は、犬くんの年のように、だんだん力がなくなり、家の隅っこでぶつぶつ文句を言ったり、歯がなくて硬いものが食べられなくなったりしました。
そして最後の20年は、猿くんの年のように、だんだん子供返りして、おかしなことをしてみんなを困らせたり、子供たちにからかわれたりするのでした。

動物たちは、自分たちが望んだ短いけれど楽な一生を過ごしたんだって。そして人間は、長く生きる代わりに、いろんな時期を経験することになったのさ。

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