ワンタという名前の、ちょっと食いしん坊な犬がいました。
ある日、ワンタは朝からお腹がペコペコ。「ぐぅー」とお腹の虫がないています。
町を歩いていると、いい匂い！お肉屋さんの店先においしそうなお肉が。「これはチャンス！」ワンタは、さっと大きなお肉をくわえて、一目散に逃げ出しました。

「やったー！ごちそうだ！」ワンタは嬉しくて、しっぽをぶんぶん振りながら、静かな場所を探して歩きました。
やがて、小さな木の橋にやってきました。橋の下には、きれいな水が流れています。
橋の真ん中まで来ると、ふと下を見ました。すると、水面にもう一匹の犬が！しかも、その犬も大きなお肉をくわえています。
「あれ？あいつの肉、僕のより大きいぞ？」ワンタは思いました。本当は、水に映った自分の姿だったのですが、ワンタは気づきません。

「よし、あいつを追い払って、あの肉ももらっちゃおう！」
ワンタは、水の中の犬に向かって、力いっぱい「ワン！」と吠えました。
そのとたん、大変！ワンタがくわえていたお肉が、口からポチャン！と音をたてて、水の中に落ちてしまいました。
水面の犬もお肉も、波と一緒にゆらゆら消えてしまいました。

ワンタはびっくり。そして、がっかり。
「ああ、僕のお肉…」
欲張ってしまったワンタは、結局何も食べられず、しょんぼりとお家に帰りましたとさ。

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